経済 (経済学者)


[ 要 点 ]



マルクスは、資本主義での生産関係は、搾取、被搾取の関係にあるとし、貧困や失業や恐怖などの現象を生み出さずにはいないという厳しく資本主義を批判し、資本主義の生成・発展・没落という運動法則を明らかにした。

◆アダムス・ミスミは、国の富は、その年に生産される商品の全部であるとして、農業労働による生産物だけを富みとする重農主義者の主張を修正した。

ケインズは、経済が不況の状態にある場合に、国家の政策による有効需要の不足の解消により、失業率の低下と完全雇用の実現を説いた。

マルサスは、資本主義社会の貧困原因は、食料生産の増加により人口増加の方が大きいことにあると主張した。

◆J.S.ミルは、「経済学原理」で、商品の経済的価値は、賃金・利潤・地代の三要素から構成されているという生産費説を唱えた。





経済学の学習の初めとして、経済学の歴史について解説していく。

資本主義は発達するにしたがって、それを科学的に分析していこうという学問が発達した。これが経済学である。経済学は以下のような過程を辿った。


1、重商主義

16世紀から18世紀後半にヨーロッパ諸国で広まった経済に関する考え方である。ここでは、国の富は、金銀の蓄積の量によって決められるという「重金主義」がとられ、保護貿易などの政策がとられた。


2、重農主義

18世紀後半に重商主義を批判し、経済的価値を金銀に置かず、農業生産に求めた。この考え方は農業という自然秩序を重んじるものなので、経済政策自体は、自由放任主義をとるようになった。

代表的な学者には、「ケネー」がおり、著書に「経済表」がある。


3、古典学派経済学

18世紀から19世紀中期までイギリスを中心に発達したものである。重商主義保護貿易を批判し、自由放任主義をとった。

(1) アダム・スミス

代表的な学者には、まず古典学派経済学の始祖である「アダム・スミス」がおり、国の富は、その年に生産される商品の全部であるとして、農業労働による生産物だけを富みとする重農主義者の主張を修正した。

経済行為を規制する原理を利己心にもとめ、利己心こそが「神の見えざる手」に導かれて経済を繁栄させると唱えた。

また、商品の価値はそれに投下した労働量であるとともに、その商品によって公売し、支配しうる労働量であるという「労働価値説」を唱えた。

著書には、「国富論」がある。

(2) リカード

アダム・スミスの労働価値説を発展させ、古典学派の理論体系を発展させた。

「比較生産費説」により貿易による国際分業の成立を明らかにし、自由貿易政策を主張した。著書には「経済学及び課税の原理」がある。

(3) マルサス

資本主義社会の貧困の原因は、食料生産の増加より人口増加の方が大きいことにあると説いた。著書には「人口論」がある。

(4) J.S.ミル

商品の経済的価値は、賃金・利潤・地代の三要素から構成されていると説いた。

また、商品の価値の源泉は、生産量であるとし、生産と分配の関係については生産は自然的法則でよいが、分配は人為的な法則である必要があると説いた。

著書には、「経済学原理」がある。


4、マルクス経済学

19世紀中頃に、資本主義は世界恐慌にみまわれて、労使の階層対立の激化などから、資本主義体制を批判し、社会主義到来の必要性を説いた。

マルクス経済学の始祖であるマルクスは、資本主義での生産関係は、搾取、被搾取の関係にあるとし、貧困や失業や恐慌などの現象を生み出さずにはいられないと厳しく資本主義を批判し、資本主義の生成・発展・没落という運動法則を明らかにした。著書には「資本論」がある。


5、近代経済学

1870年代以降に、マルクス経済学に対抗して生まれたものである。

限界効用理論のメンガーや、均衡理論のワルラスやマーシャルなどにより、体系化がなされ、ケインズによって完成されていった。

ケインズは、経済が不況の状態にある場合に、国家の政策として有効需要の不足の解消により、失業率の低下と完全雇用の実現を説いた。

著書には、「雇用・利子および貨幣の一般理論」がある。