〔No.58〕次の( )内に下記の語群中から最も適切な語を入れると,盗犯等ノ防止及処分ニ
関スル法律(以下「盗犯等防止法」という。)第1条第1項と刑法第36条第1項の
関係についてⅠないしⅢのいずれかの説に立つ学生AないしEの発言となる。Ⅰ説の
立場を採る者の組合せとして正しいものはどれか。
A: B君の見解は,( )な判断である違法性の理解として疑問であり,具体的事
件への適用において,正当防衛の成立する範囲が余りにも拡大することになるの
ではないか。
B: 市民が正当防衛権をためらいなく行使できるようにするという立法理由からす
れば,盗犯等防止法第1条第1項の要件を( )に充足する限り正当防衛とみな
されるというのが正しい理解だと思う。
C: 私は,同じ犯罪類型で同一の事実関係の下では,刑事上の( )はあるかない
かのいずれかであって,盗犯等防止法第1条第1項を適用した場合と刑法第36
条第1項を適用した場合とで( )の有無に関して結論が分かれることはおかし
いと思う。
D: Cさん,それは違うと思う。盗犯等防止法第1条第1項と刑法第36条第1項
とは要件が異なるのだから( )の判断が分かれてもおかしくないはずだ。た,
だ,僕の見解はB君とも異なる。
E: A君らの見解だと盗犯等防止法第1条第1項で刑法の正当防衛の特則を設けた
意味がなくなる。一方,B君の見解だと( )の余地もなくなりかねず,これも
妥当ではないと思う。
Ⅰ 盗犯等防止法第1条第1項は,刑法の正当防衛の一例を示した解釈規定にすぎな
い。
Ⅱ 盗犯等防止法第1条第1項は,刑法の正当防衛の要件を緩和したものであるが,
一定の相当性は必要とされている。
Ⅲ 盗犯等防止法第1条第1項は,刑法の正当防衛の要件を緩和したものであり,相
当性は必要とされない。
【語群】実質的形式的構成要件該当性違法性責任誤想防衛過剰防衛
1.A,C 2.A,D 3.B,C 4.C,E 5.D,E
(参照条文)
盗犯等防止法第1条第1項左ノ各号ノ場合ニ於テ自己又ハ他人ノ生命,身体又ハ貞操ニ対
スル現在ノ危険ヲ排除スル為犯人ヲ殺傷シタルトキハ刑法第36
条第1項ノ防衛行為アリタルモノトス
1号〜3号省略