〔No.46〕
学生AないしCは,次のⅠからⅢまでの事例における甲の罪責に関し会話している。発言中の(  ) 内に語句群から適切な語句を入れ,【 】内にⅠ又はⅡのいずれか異なる適切な事例を入れた場合, ①から⑧までに入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
【事例】
Ⅰ 甲は,昼間,訪問販売の目的で,玄関ドアに「訪問販売お断り」と書いた紙が貼られている一人暮らしのX宅の無施錠の玄関内に,呼び鈴を鳴らして立ち入った。
Ⅱ 甲は,昼間,強盗の目的で,一人暮らしのX宅の無施錠の玄関内に,呼び鈴を鳴らして立ち入った。
Ⅲ 甲は,万引きの目的で,店長Xが管理する営業中のデパート内に立ち入った。
【発言】
学生A 僕は,刑法第130条(住居侵入等)の罪の保護法益は( ① )であると解する。そして,同罪の「侵入」に当たるか否かは( ② )と思う。,
学生B 僕は,同罪の保護法益は( ③ )であると解する。
学生A B君の見解では,Ⅲの事例や【④ 】の事例でも,同罪が成立することとなり,妥当でないと思う。
学生B Ⅲの事例では( ⑤ )と思う。また【④ 】の事例では( ⑥ )と思う。A君の見解に
よると【⑦ 】の事例では,同罪は成立しないこととなり,妥当でないと思う。,
学生C 僕は,同罪の保護法益は( ① )であると解するが,同罪の「侵入」に当たるか否かは,
( ⑧ )と思うから【⑦ 】の事例では,同罪が成立すると考える。,
【語句群】
ア住居等に対する事実上の支配・管理権
イ住居等の事実上の平穏
ウ立入り行為の客観的態様だけでなく,行為者の目的等の主観的事情も併せて総合的に判断するべ
きだ
エ立入り行為の客観的態様から判断するべきだ
オ甲が専らその目的で立ち入ることをXが真に拒否しているといえない場合や,これをXが真に拒
否していても甲にその認識がない場合もあり,これらの場合には,同罪は成立しないと考えるが,
他方,甲が専らその目的で立ち入ることをXが真に拒否しており,甲にその認識がある場合には,
むしろ同罪の成立を認めるべきだ
カ立入り先の性質から立入りが包括的に許容されているとみる見解もあるが,甲が専らその目的で
立ち入ることをXが知った場合にXが甲の立入りを許すことはあり得ないから,同罪の成立を認め
るべきだ
1.①イ②エ④Ⅱ 2.①ア⑤カ⑧ウ3.②ウ③ア⑥オ
4.③イ⑥カ⑦Ⅰ 5.③ア⑥オ⑧ウ